ユーロ/円相場は、130円の節目を挟んで揉み合う展開になっている。対米ドルでは円安圧力が強まるも、対ユーロでは明確方向性を打ち出せていない。ポルトガルを筆頭とした欧州債務危機の蒸し返しに対する警戒感が本格化することはなかったが、対米ドルで急激なユーロ安が進行していることもあって、ドル/円市場との比較では上値の重い展開になっている。
欧州中央銀行(ECB)は4日開催の理事会で、政策金利の据え置きを決定した。ただ、ドラギ総裁は「政策金利は長期にわたり現行水準かそれを下回る水準に留まるとみている」と述べて、新たに時間軸政策の導入に踏み切っている。これによって直ちに追加緩和の導入といった議論にはならないものの、少なくともECBは今後も低金利政策を長期にわたって維持する意向を示した形になっており、ユーロの上値が圧迫され易くなっている。量的緩和の規模拡大を進める日本銀行との比較では、特にECBの金融緩和スタンスが強力という訳ではないが、出口戦略を模索する対米ドルではユーロ安が進み易く、ユーロ/円相場の上昇余地も限定される見通し。ユーロ/円は堅調なドル/円市場にサポートされて底固い展開が続くと見ているが、大きな値動きは想定しづらい地合が続くことになる。
一方、一時8%台まで急伸していたポルトガル10年債利回りは、足元では6.7%台まで低下している。依然として高値水準にあるものの、連立政権の維持向けての協議が進展していることが、欧州債務問題が再びパニック化することにブレーキを掛けている。引き続き今後の展開には注意が必要であるが、現段階では欧州債務危機を本格的に蒸し返すような動きは鈍い。引き続き、潜在的なユーロ安のリスクと評価しておけば十分だろう。
今後1週間の予想レンジは、128.50~132.00円。